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幻の超ステータスカード

日本テレビの昼の番組「おもいツきりイイテレピ」に出演したことがある。みのもんたが司会を務めるのでよく知られている番組だが、この日のテーマは「クレジットカードを使って、年間11万円得する方法」というものだった。電気代、ガス代などの公共料金をカード払いにしてポイントを貯めたり、スーパーの特定日にカードを使って5%割引で買い物をするなど、涙ぐましい努力を重ねてお得を獲得しようという趣旨だった。4月にパンや牛乳、ビール、小変粉など生活必冊品が軒並み値上げになったために、「カード節約術」はタイムリーな企画として、「視聴率がとれる」とテレビ局、制作プロダクションともに期待を寄せた。私はクレジットカードの専門家としてカードの正しい使い方をゲストやスタジオの主婦に教えるというのが役割だった。

スタジオに集まった主婦たちの前には大きなテーブルが用意され、そこに、何十枚もカードが並べられた。オープニングの紹介が終わると、みのもんたはさっそくテーブルに近づいた。2~3枚カードを手にとるや、「なんだ、チタンのブラックカードはないの」とわざと甲商い声でいった。自分が持っている世界最高啼のチタン製のブラックカード(センチュリオン)がそこにないので、さも不満という振りを見せたのだった。しかし、それはもちろん演技だった。不満というより、それを持つ自分がいかに高いステータスの保持者かを主婦たちに自慢しようとしたのだ。だが、その意味を理解した主婦はひとりもいなかった。辺りは一瞬シーンとなった。みのもんたはバツが悪そうな顔をすると、すぐに話題を変えて、今度は主婦をいぴりだした。

しかし、私には彼の意図がよく分かった。「また、やってる」と内心苦笑したものだ。有名芸能人たちは何故かブラックカードが好きなのだ。今はテレビ界から引退した占い師の細木数子があるバラエティ番組に出演したときに黒いクレジットカードを振りかざしながら、「このカードは天井知らずだから、商額な絵画や呉服をその場ですぐに買えるのよ。けれど、私のような選ばれた人しか持てないのよね」と、自慢そうにいっていたのを思い出した。真っ黒の券面で何となくうさん臭く思えるそのカードは、高収入といわれる細木女史には妙にフィットして見えたものだ。

それが、アメリカンーエキスプレス(アメックス)が発行する最高峰のクレジットカード、「センチュリオン」であった。券面の色からブラックカードとも呼ばれ、普通の人ではなかなか持てないために、幻のステータスカードともいわれている。

このカードの凄いところは、細木女史が指摘した通り、資産があって信用力(与信)が飛ぴ切り高く、選びに選ぱれた人しか持てないことだ。日本では2000人くらいしか持っていないといわれる。

しかし、そのサービスは半端ではない。飛行機に乗れば、いつもワンランク上のピジネスクラス、ファーストクラスを用意してくれる。一流ホテルではほぽスイートに宿泊するように手配してくれる。限度額も無制限なので、事前にカード会社に知らせておけば、ヨットでも小型ジェット機でも何でも購入できる。

しかも、コンシェルジュサーピスが完側しており、専任の担当者に依頼すればどんな要求にも答えてくれる。アメックスは、「ノーといわないサービス」を裸榜するくらいだから、このカードを持つことは、優秀な下僕を雇うようなものなのだ。

そして、何よりも年会費が36万7500円もすることがそのステータスを証明している(発行当時は16万8000円だった)。一般のレギュラーカードが1312円だから、300倍近くもすることになる。途方もない金額だ。

しかも、ブラックカードの特典は徹底的に隠されているために、その噂が独り歩きして、価値をますます高めている。その結果、運良く幻のカードを手にした芸能人、タレント、六本木ヒルズ族のベンチャー社長たちは、自らもその波に乗り、少しでも自分を商くみせようと、あちこちで吹聴して回るのである。

そして、一般庶民の方もこのカードには強い関心を寄せている。なにせ、36万7500円の年会費を払うわけで、そのカードの中身とともに年会費分の元が取れるかどうかが気になってしかたない。それを気にしてみながこの高嶺の花のカードに注目するのである。






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