クレジットカードの信用度

サブプライムローン問題の元凶はクレジットスコア

サブプライムローンは米国の「低所得者向けの住宅ローン」と報道されているが、正確には、「信用力」の低い人たちに向けて拠供された住宅ローンのことで、それが世界経済を揺るがせ、米証券大手リーマンーブラザーズの破綻を招き、その余波は今後数年は続くだろう。このサププライムローン問題というと、いつも金融・経済のマクロの話が多いが、「サブプライムな人々」という個人の観点ではあまり議諭になっていない。しかし、重要なのは、その金融不安の中で暮らす人々の実情であり、その思いである。

ちなみに、サブプライムの物差しになっているのは、クレジットカードの返済履歴を元に作られたクレジットスコアであり、その信用格付が社会に広く普及しており、その点数によって、その人の資産・経済力・返済能力などが判断され、住宅ローンの金利から就職、転居といった日常的な生活にまで大きな影響がでるようになっている。たとえば、FICOスコアという”経済偏差値”の場合、最低300点から最高850点までの間で格付がなされるが、サププライム層は620点以下の人々といわれ、700点以上の優良顧客(プライム層)よりも一段低くみられている。その信用力の低い人たちに住宅ローンを無理矢理に貸し付けたために、大量の焦げつきが発生したのだ。

それだけではない。クレジットスコアは日常生活でも予想外の影響を与える。

米人気テレビドラマ「ヒーローズ」は、平凡な生活を送っていた人々が空を飛んだり、人の気持ちが読めたりする超能力があることに気づき、世界の危機を救うために立ち上がるというストーリーで、米国だけでなく日本でも好評を博している。

シーズン1では、主人公のひとりである日本人マシーオカ(33歳)が叫ぶ「ヤッターー」というセリフが人気になったが、シーズン2では、マシーオカの恋人役に日本でアイドルだった田村英里子(35歳)が抜擢されて話題になった。その田村は2000年に「アメリカ映画に出演したい」と波米してオーディションを受け続けたものの、ハリウッドの壁は高く、7年間は失敗の連続だったという。

なかでも苦労したのが信用問題。渡米当初、アパートを借りるのにお金があってもクレジツトヒストリー(履歴)など信用がなかったために借りられず、住む場所がなかったことだ。まずはルームメイトを見つけルームシェアをしながら、独立した生活を始めるまでに2年もかかったという。米国では、いくらお金があっても、クレジットカードで培った信用がなければ住む場所も持てないのだ。

田村の場合は、米国でのヒストリーが全くなかったために「信用がない」として、アパートの入居を断られたのである。クレジットカードが米国の「格差社会を補強」しているわけで、日本も急速にその方向に向かいつつある。

しかし、そもそもあなたは、人々をサブブライム、プライムという階層に分けることをどう思うだろうか。金融機関は審査の負担が減るため喜ぶかもしれないが、そんなものは必要ないという人の方が多いはずだ。個人の信用力をクレジットカードの使い方ひとつで評価するやり方など不公平と思うかもしれない。幸いまだ日本にはこのクレジットスコアは本格導入されていない。しかし、改正貸金業法の第3次施行(09年6月実施)で行なわれる信用情報の一本化を機に米国並みのクレジットスコアの導入に向かおうとしている。このスコアが始まり、クレジットヒストリーヘの関心が高まれば、社会の格差は急速に拡大するだろう。

すでにその兆候はでている。

日本でも動き出した「信用力」問題 無料で配布するマンガ雑誌を発行していた出版社が倒産して、営業で頑張っていた私の友人の山口洋司くん(仮名・34歳)は路頭に迷った。子供が生まれたばかりだったためにすぐに就職先を探さねばならない。さっそくネットで適当な企業を検索していたときに目に入ったのが外資系のIT企業であった。手っとり早くそこに応募することにした。

迎良く書類審査を通過し、いよいよ而接となったが、はたと困った。応募条件に「クレジットヒストリーを持ってくるように」とあったからだ。クレジットヒストリーとは何か?あれこれネットで検索した結果、「クレジットカードを使っての返済履歴のことで、個人の信用を測るために使われることもある」と分かった。それは個人信用情報機関というところが保有しているらしい。さっそく問い合わせて郵送で送ってもらうことにした。

彼はクレジットカードを3枚持っているが、キャッシングを50万円ほど利用している。さらに延滞も何度か経験しているので、それが気になった。送られてきた書類には2年分のクレジットカード返済履歴が載っていた。あまりみたくはなかった。ショッピングはプラス材料だが、キャッシングはマイナス材料になると誰かにいわれたことがあったから不利になると直感したのだ。

いよいよ面接日、朝起きたときには面接に行く気でいたのだが、時間がたつうちに考え直して行かないことにした。面接官に何をいわれるか分からなかったのでやめにしたのだ。幸いすぐに他の会社での採用が決まったために、職にあぶれることはなかったが、その後しばらくは、クレジットヒストリーのせいでその会社に落ちる夢ぽかりみたという。

米国では、このクレジットヒストリーが就職のときに重要な評価ツールになっており、その内容で不適格とされる人も多いという。日本でも外資系企業ではヒストリーを要求するところがでてきた。米国本社の意向によるものだろうが、いよいよ日本でも厳しい時代になったのだなと、私はこの話を聞いたときに思ったものだ。

日本社会で「格差」が急速に広がっている。それを受けてビジネス、生活、教育、介護・福祉などさまざまな分野で「格差」の問題が議論され、テレピ、雑誌・新聞では毎日のようにこのテーマが取り上げられている。しかし、じつは「格差」にはこのように知られざるもう一つの大事な側面があることを忘れてはならない。それが個人の「信用力」格差である。信用は社会生活を営むうえで不可欠だ。私生活はもちろん、ビジネスをするうえでも欠かせない。

だが、問題は、最近、その信用を持つ人と持てない人の差が急速に広がり始めていることだ。そして、信用があれば、さまざまなチャンスに恵まれますます有利な立場につくことができるが、その一方で、信用がないと、いろいろな障害が行く手を阻み、簡単なことでもなかなかできなくなっている。人生で大きなハンデを背負うことになるのだ。2000年以降、勝ち組、負け組という言葉が流行っているが、信用があれば、狭き門の勝ち組のグループに入ることができるが、信用を失えば、あっという間に負け組に転落してしまうのだ。それはまるで天国と地獄の差である。

さらに、いまその信用が厳しく格付される時代になってきた。就職で心配した友人のケースもそのひとつ。コンピュータとネットワークの発達で、毎日利用するクレジットカードの履歴を元にしてその人の経済活動に関する信用力を判定できるようになったのだ。そして、信用の概念も大きく変わりつつある。かつての日本では年収や勤務先の格で「信用力」は判断されたが、いまはそれらと共にクレジットカードでの返済履歴が重要になっている。言い方を換えると、クレジットカードを上手にきれいに使っている人とそうでない人では信用に大きな「差」がでる時代になったということだ。

ここでは、クレジットカード利用者の二極化問題を手始めに、「信用悄報機関」の闇やブラックカード、ヤミ金などのトピックを交えながら、自分の知らないところで勝手に進む「信用力格差」について、その驚くべき実態と対処法を明らかにしたい。

とくに信用問題を巡っては富裕層と下流層の間で、埋めがたい溝が生まれ、闇はますます深く広がりだしている。

出世競争に勝ち残ったセレブ(富裕層)たちがステータスの証として持とうとするブラックカードは「成功」「信用」の象徴である。一方で、派遣、契約、パートといった非正規社貝たちは、恵まれない収入の中で、過酷な労働を強いられている。信用面でもクレジットカードを持てないなど絶望的な立場に追い込まれている。そして、その閤から這い上がろうとする焦りが、秋葉原無差別殺傷事件といった事件を引き起こし、社会不安を呼んでいる。この信用力格差を放置したままでは、弱肉強食の風潮はさらに強まり、若者が将来に希望を託せない社会になってしまうだろう。そうした社会を、私たちが受け入れるのかどうか、いま真剣に考えねばならないときに来ている。

なお、クレジットスコアは「経済偏差値」とも「信用偏差値」とも訳されるが、ここでは「経済偏差値」で統一した。




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